大衆の反逆 オルテガ 100分で名著
日付:190305
選んだ理由:録画してあったため
学び:熱狂に注意する。大衆化が進む中で、自分と異なる考えを意識し、認めること。保守の中に革新がある。生きている死者の権利も尊重する。
1930年発行
オルテガの定義した大衆とは
mass man:大量にいる人たち
根無し草になってしまった人たち:トポス(ギリシャ語で場)の喪失
個性を失い、何ものでもない群衆化した人たち
近大が大衆を作った
人間の個性を奪った近代
工業社会、長時間の労働=規律化、近代教育が必要
長時間、同じ姿勢で聞く必要がある
庶民と大衆は異なる
庶民は、自分の考えを持ち、地に足をつけた生き方
大衆とは、生き方の問題
大衆とは平均人とのこと
平均人:自分ががみんなと同じであることに苦痛を感じず、自分をよいとも悪いとも評価せず、平均化された人であろうとし、他者と同じことに喜びを感じる
イワシの群れのようなイメージ
大衆化した人が多数を占めると、変わった人が抑圧される
大衆は慢心する。
慢心した坊ちゃん
正しさを所有できると勘違いしている
自分の能力や理性に対する懐疑がない
自分を完全だと思う”愚か者”
自分を超えたものへの畏敬の念がない
歴史で積み重ねられてきたもの、勝手に変えてしまってもいいと思っている
科学者や研究者が大衆的人間になってしまっている
昔は、人間を知者と無知の者に分けることができた
科学者は区別できない存在
専門家は、特定の分野については知者であるが、ほかの分野に関しては無知である
専門家は無知な知者である
リベラル=自由主義
寛容さがリベラルの本質
30年戦争 1600年代、ヨーロッパで起こった宗教の戦争、宗教間の違いから始まったが、30年間終わらなかった
相手に寛容になり、受け入れることが必要になり、これがリベラルの源流
多数派が少数派に向けた権利である
地球上でもっとも高貴な考え方である
敵とともに生きる、反対者とともに統治する
リベラルは多数派の自由ではない
礼節やマナーが、リベラルには必要
自分と違うものとうまくやっていくことが政治
まどろっこしいこと、面倒くさいことこそが重要。
革新派は、この礼節を無視してはいないか
貴族:本来の意味は動的であること、並々ならぬ努力が求められる。
庶民の中にこそ貴族性がもとめられる
自分とは異なる考えの人と生きていける、克己心や粘り強さを持っているヒト
トポス(場)をしっかりと持ち、社会の中で自分の役割を果たそうとする人
思想とは、真理に対する王手である
真理に近づこうとする、王手を刺そうとする意志が重要
人間は真理には近づけない。しかし王手に近づくことはできる
思想を持とうとするものは、その前に真理を欲し、遊戯(型)を認める用意をしなくてはならない
守破離の考え方
大衆の行動
パンを求めてパン屋を破壊するような行動
自由を求めるあまり、自由を支えてきたもの破壊し、総和が減る
短期的には自由が手に入るかもしれないが、
超民主主義
大衆人による民主主義
古い民主主義には、自由主義と法に対する熱情が多く盛り込まれていた
大衆人は、波に漂う人。彼らは何も生み出さない
その後のポピュリズムとなる
保守=リベラルが成り立っていた
支配するとは、拳(で殴ること)よりも尻(座ること)の問題である
暴力的に支配するのではなく、焦らず座って話し合うことの重要性を説いた
死者とともに生きることが民主主義
当時、ヨーロッパ各地で革命が多発
これは死者を顧みない行為
死者は、死んでいなくなったわけではなく、死者の多大な影響で生きている
自らの力に自信を持ちながら、不安を感じている
過去の基準や枠組みがなくなり、比較できなくなる
過去をなくすことで、単純化し熱狂が起こる。2択を選ぶようなことが多くなる
人は、後ろ向きにボートを漕ぐように、未来後戻りしながら入っていく
過去や死者を大事にすることは、未来志向である
死者と出会い直すことができる
生前とは別の関係となり、死者とともに生きていくことができる
脳内では働きかけてくる存在がある
伝統とは、死者に投票権を与える行為
民主主義と伝統は切っても切れない関係
立憲主義と民主主義
互いに対立する関係
立憲主義は、過去の人の民主主義
民主主義は、生きている人の多数決
民主主義は危ない側面がある
ヒトラーは民主主義によって選ばれたl
今の人だけで決めることは危険である
現代は劇場型の民主主義
劇を見るように、いっときだけ炎上して集中する
終わった後は、何も残らない。断片化した関係
祭りの時だけ関係が生まれる、カーニバル型の共同体になっている
現代は近視眼的になっている。
未来や過去に想いを馳せながら、行動すべきである。
人間は環境の中で制約される存在
保守の対義語は革新と認識されている
近代の保守思想、フランス革命に対する反対から生まれた
フランス革命では、理性による革新によって世界をコントロールできると考えていた
しかし、反逆者を処刑し続けたことで、社会が混乱に陥った
人間は不完全、昔の行動にも問題はあり、今の行動にも問題がある
「永遠の微調整」が保守の考え方
大切なものを守るためには変わらなくてはいけない。
長く続くためには、微調整を繰り返さなくてはいけない
アメリカは国家と個人の間の中間領域が分厚い。
多数の協会、教会など
他者と合意形成しながら、意思決定していくプロセスが確立されている
そのためデモクラシーがうまくいく
有能なリーダーがいるわけではない
多数者の専制が起こると不都合なことが起こる
ナポレオン、ヒトラー、トランプなど
伊集院:疑うことが、現在は否定になっているような気がする
ボンディングとブリッジング
ボンディング 強い絆、年功序列など、排他的な意識が感じる
ブリッジング 町内会、強い閉塞感がある。しかし、ほかの関係もあれば、複合的な共同性が生まれ、良い関係になる
ひとりの人間が、複数の共同体に所属していることが重要になる
私は、私と私の環境である。
そしてもしその環境が救えないのであれば、私をも救えない
自分を構成するものは、大半が自分では選んでいないもの。
言語、国籍、親、出身地など
熱狂を疑え
熱狂する人は何か一つを信じている。それを疑い、地に足をつけて自分の環境を耕すことで、発展できる